(16)高血圧は病気じゃない?

 今年も大勢の村民の皆さんにインフルエンザの予防接種をしました。ワクチン不足が心配されましたが、この原稿を書いている12月初旬の時点ではそうならないで済んでいます。
 さて、予防接種の問診表に「今かかっている病気」を記入する欄があります。皆さんの記入内容を見ていると、「病気はない、薬はのんでる」と書いてくれる人が結構います。診療所に高血圧などで通っている人もそう書く人が多いです。多分皆さんの頭の中は「熱が出たりどこかが痛いことが病気」で「高血圧や糖尿病で薬を飲んでいても、具合が悪くないから病気じゃないよ」と考えているのだと思います。しかし! 医者の頭の中では「高血圧」も「糖尿病」も「高脂血症」もみんな「病気」なのです。毎日毎日何年も何年も薬を飲み続けなければならない体の異常があるのだからそれは大変な事です。かぜで何日か熱がでるよりよっぽど重大で、立派に「病気」です。でも「具合が悪くて動けない」という意味ではありません。薬を飲んで調整がうまくいっていれば、安心して毎日元気に快適に過ごせます。「病気」で薬を飲んでいるけれども「健康」なのです。
 ところで、病院や診療所に通っているみなさん、自分の病気の名前を尋ねられた時に答えられますか? 
「血圧だ」 「糖尿だ」
 このあたりはいいのですが、
「頸椎で手術をした」「頸椎の何病ですか」「??」
「前立腺だ」「前立腺肥大?それとも前立腺がん?」「??」
てなことが結構あります。手術受けたのにちゃんとした病気の名前を知らないの?とびっくり仰天です。のん気な人たちだなあとつい思ってしまいますね。他の病院にかかった時などは病気の名前が解らないと困る場合が結構ありますよ。お薬手帳を見るとだいたい察しはつきますが、それでもサクッと病名が解る方がいいです。まあそうは言っても、私も全ての患者さんに納得してもらえるまで病気や薬の説明をしているかというとそうとは言えないのですが、一応努力はしています・・・
 来年の予防接種の時には「高血圧」も「糖尿病」も「高脂血症」も「高尿酸血症」も「骨粗しょう症」もみんな病気の欄に書いてくださいね!