(18)本当に血圧を気にしなければいけないのは誰だ
高血圧に糖尿病に高脂血症に骨粗しょう症に・・・。病院に通って薬を飲んで、というのは年寄りの仕事。と思っている方が多いと思いますが、本当にそうでしょうか?
高血圧を例にとって考えてみると、確かに60歳前後くらいから血圧が高くなってくる人が多いです。しかし、それより若くして血圧が高い人たちがいます。極端な例だと20歳代から高い人もいるようです。さすがに20歳代から血圧が高い人を数十年追跡した経験はありませんが、ものの本によるとそういう人たちはかなりの確率で重大な合併症が起きてくることが解っています。高血圧をまったく治療せずにいた場合は60歳より前に最初の事件がおきる印象があります。脳梗塞・脳出血・心不全などいろいろありますがその後も事件を繰り返して行くので、結局天寿を全うすることはできません。高血圧・動脈硬化で本当にやられていく人はそんな経過になります。そしてその始まりは30歳代40歳代にあるのです。
当診療所に通っている人の中にも40~50歳代で下がりにくい高血圧の人が数人います。こういう人たちは何種類も薬を組み合わせてもなかなか血圧が良い数字になってくれない。そしてすでに心臓肥大など高血圧の合併症の始まりのようなものを持っていることが珍しくありません。こういう人たちに80歳くらいまで無事で元気に生きて行ってもらうのが血圧を診る医者の仕事なのです。薬の組み合わせ、副作用のチェック、合併症のチェックなど結構気を使います。1種類の薬であっさり血圧が下がる人たちは幸せなのです。
血圧に気を付けるのはお年寄りの仕事ではありませんよ!!