(21)胃がんを見つける
胃がんは今は非常に早期に見つかって内視鏡で切除できてしまうことが多いです。そのような早期の胃がんは「完全に無症状」です。皆さんは胃の調子が悪いから胃がんが心配、胃カメラを飲もう、と思うかもしれない。でも胃がんで症状があったらもう立派な進行がんです。もう手遅れ。早期の胃がんは無症状の人に胃カメラをやって見つけるのです。
内視鏡医の立場からすると、たくさん胃カメラをやっていれば中に早期胃がんが見つかってくる。彼らにとってはたくさん胃カメラをやることが重要なんです。症状の有るなしはどっちでもいい。「症状が無い人にどんどんやる」のが当たり前で、まして「症状があればそれを理由にどんどんやる」なんです。そして症状があって胃カメラをのんでも大した所見がないのが普通です。せいぜい慢性胃炎や食道炎くらいでしょう。「癌も潰瘍もなくて良かったねー」で終わりです。内視鏡医にとっては早期胃がんを見つけるのが一番大事な仕事なので、症状の原因を突き止めることはあんまり考えてません(内視鏡医の皆さんゴメンナサイ)。でもその二つの病気がなければ胃については心配はないです。今どき症状がでるほどの胃がんを見逃すことはまずあり得ないのでそれ以上の心配はしないことです。
ところで、集団検診でやるバリウムの胃透視検査では早期胃がんの発見はまずできません。健診も全部胃カメラにすればいいのだけれど、手間・人手・リスクを考えると無理です。なので、バリウム検査は胃カメラに回す人を選ぶための手段になっています。少しでもきれいに写っていないところがある人は胃カメラに回します。癌がありそうだから胃カメラに回されるのではありませんよ、安心してください。大きい声では言えませんが、バリウム飲むのはパスして定期的に胃カメラを飲むことをお勧めします。2年に一回くらいがいいでしょう。病院の診療でも人間ドックでいいですが、同じ医療機関で継続的に診てもらうことが大事です。僕もそろそろ胃カメラ飲まないとなあ。