(22)肺がんを見つける
肺がんは常にがん死亡の上位を占めています。肺がんの治療は急速に進歩していますが、それでも亡くなる方は減りません。
では肺がんはどうやって見つけるか? 肺がんで症状がでたらそれころ手遅れです。だから症状がない人に検査をして見つけなければならない。「胸部レントゲン写真だよね」と皆さんは思うでしょう。でもレントゲンでは治療可能な段階の肺がんはまず見つけられません。もちろん症状がでる前に肺がんを見つけることが可能ですが、それでも進行していて手術ができないことが多いのです。実は、毎年レントゲンで健診をうけても肺がんの早期発見ができないことはずいぶん前からはっきりしています。ではどうすればいいのでしょうか? 答えは「CT」です。
CTでは直径5mm前後の早期の肺がんを診断することが可能です。こういう早期の肺がんは手術でしっかり切除できます。治ります。そんな肺がんは症状はまったくないし、レントゲンにも写りません。だから今見つかっている早期の肺がんは他の目的で撮ったCTで偶然に発見されたものが多いように思います。
では肺がん検診をCTでやったらどうか? 実際以前住んでいた長野県では一部の地区で肺がん検診をCT検診車でやっています。その結果、当時勤めていた病院では手遅れで見つかる肺がんの人がかなり減った印象がありました。CTによる肺がん検診は正直言って有効だと思います。しかし、大規模な調査の結果ではなぜか「CTで肺がん検診をやっても肺がんで死ぬ人が減る確証がない」のだそうです??? そんなことを言われても診断能力の違いはものすごく大きいし、CTなしで肺がんの診断をすることはあり得ない。現在日本国内でCTによる肺がん検診の大規模調査が進行中なので、遠からずCT検診が標準になるでしょう。
さて、現状ではどうすればよいのでしょうか。だいたいどこの人間ドックでもオプション検査で肺CTがあると思うので、2~3年に1回人間ドックで肺のCTを撮るというのがお勧めです。CTは単純X線写真に比べて被ばく量が多いので、あんまり頻繁に撮るのは避けてください。
それより何より、タバコをやめないと意味ないよ!!