(15)今シーズンのインフルエンザ診療について
前回インフルエンザのお話をしましたが、今回はその続きです。
今シーズンは基本的にインフルエンザの検査(お鼻をぐりぐり)はしません。インフルエンザを診ないのでありません。熱がでて症状経過がそれらしければ、検査をせずにタミフルを処方するという事です。その理由は・・・
実は、インフルエンザと新型コロナウィルス感染症は症状だけで見分ける事がほとんどできないのです。だから、インフルエンザを検査するときは同時に新型コロナの検査をすることが推奨されています。要するに、発熱の患者さんを診る場合は新型コロナまで考えろ、ということなのです。
しかし診療所ではいろいろな事情から新型コロナの検査はやっていません。じゃあインフルエンザの検査だけするかというと、実はそうも行かないのです。インフルエンザの検査で鼻をぐりぐりしている時にせきやくしゃみをされると、看護師さんは唾液や鼻汁を浴びてしまいます。新型コロナを念頭において診ている患者さんの唾液や鼻汁を浴びせるわけにはいかない。だからインフルエンザの検査であっても新型コロナ用の感染防御服を着てやらなければならないのです。でも診療所ではとてもそこまでできません。新型コロナの検査をやらないならインフルエンザの検査もやらない。これが「やらない」理由です。
「インフルエンザの検査をやらないと薬がだせないのでは?」と思うかもしれません。しかし医者の間では「インフルエンザの検査は必要ない」とずっと言われているのです。経験のある医者が症状を聴いてインフルエンザであると判断すればそれで十分。検査せずタミフルを処方して何も問題はありません。しょせん一週間で自然に治る病気ですし薬の安全性も確立されているので心配いりません。。
このような事情から、大潟村診療所では基本的にインフルエンザの検査はせずに、症状と経過からインフルエンザを診断し治療していきます。前のシーズンも半分くらいはそうしていましたが、今シーズンは検査しないのを基本とします。これを機にインフルエンザの検査をやらない医療機関が増えるでしょう。厚生労働省が何と言おうが、一般の医療機関で新型コロナの検査をやるのはワクチンと治療薬が開発されてからです。